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「三千世界の烏を殺し」







ひるがえる灰色のシャツ
がそっぽを向く夕暮れ
の片隅に咲いている花
とそれをなじるあなた



本当は愛してたいのに
を口にしないひと
そして思ってもいないのかも
と勝手に悲しがるあたし




三千世界の烏を殺し




雪が降りますね、
とこの真夏を見て言うその指
をくわえ込んだどこか
に見惚れてくれればいいのに




とまどって合わせはしない唇
は、からりと乾いていて、
なんてね、と言うことでしか
ほら、夢も見れませんもの





白蓮の夜
に響き渡る
この毛布の凍み
に血を残す
三千世界

烏を殺し




むかつくんだよ、
っていった
からむかつかない
ようにあたしはまっくろ
くなった




ね。
よがあけるね
ね。よがあけるね
とそれだけ確認しあった
ら、あなたがいることがわかった
なんて、すきなの






って言葉なら何度でも書けた
とあたしは目を閉じ
に、縋る夜
と朝の
もうわかった
ができない
うすくらやみ





三千世界の烏を殺し


















「三千世界の烏を殺し」(以下略)高杉晋作都々逸より






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